民間の医療保険、管理人も社会人になったら会社の給与天引きで加入しました。しかし、子供が生まれる際の保険の見直しで解約しました。是非この記事を読んで皆さんも保険を見直してみてください。
医療保険とは?
民間の医療保険とは、病気になり、入院や手術を受けると保険金が支払われる制度です。
保険料は、加入した時から生涯変わらず、”終身保障”が一般的です。加入時の年齢が上がるほど保険料が上がる仕組みになっていて、「早く入った方がお得」というのが、セールストークです。
公益財団法人生命保険文化センターの「令和元年度 生活保障に関する調査」によると医療保険(「疾病入院給付金が支払われる生命保険」)の加入率は73.1%だそうです。
医療保険が不要な理由
大きく不要な理由が3つあります。
①支払われる保険金が小さい
支払わる保険金が小さく、もしもの保障にならないです。
業界最大手のアフラックの医療保険に特約なく加入すると、30歳男性で2,734円/月です。仮に80歳まで支払うと支払総額は、2,734円×12か月×50年=約164万円です。
一方、支払われる保険金は、10日までの入院すると10万円保険金が下り(11日以上の入院は1日につき5,000円追加)、手術をすると5万円(一部手術は20万円)受け取れます。仮に痔の手術で5日間入院して手術すると、15万円保険金を受け取れます。
「もしも」の安心の保険ですが、病気になって15万円もらえるだけで本当に安心できるのでしょうか?今どきの高卒の初任給より少ない給付金です。こんな”はした金”のために保険は、不要です。掛け金増やして、これを2倍・3倍としても、月収程度しか給付金をもらえません。
②支払保険料の時間的価値が考慮されていない
前述の通り、30歳から2,734円/月を50年間(600か月)支払う総額は、164万円です。これを毎月積み立てて、貯金や投資をすると、期待利回りに応じて運用成績になります。エクセルのFV関数を使って、A列の利率で600か月積み立てた場合の満期額をシュミレーションしました。また、同様の試算をカシオのサイトでも簡単に実施できます。
仮に3.0%で運用できれば、支払総額164万円が381万円と、2.3倍になります。一方で保険料で支払うと、時間的価値を享受できません。保険会社は、受け取った保険料を運用に回しており、運用収益は、すべて保険会社の利益になります。株や投信信託をやっている人なら、長期的に3%の利回りで運用することがそんなに難しいと感じないはずです。
保険に入るくらいなら、毎月の積立で、貯金や運用するべきです。
③公的医療保険が高性能すぎるから
世界に誇るの日本の医療保険なら大丈夫です。
高額医療費制度により、一定の金額以上の医療費は、健康保険組合が負担してくれます。国が定める最低限の支払い額は、下記の通りです。<出展:厚労省のHP>
更に過去12か月以内に3回以上、上限額に達した場合は、4回目から「多数回」該当とな
り、自己負担上限額が下がります。
また、健康保険組合によっては独自の制度があり、トヨタ自動車健康保険組合の場合、月額2万円を超える医療費を支払った場合は、全額保険組合が出してくれるそうです。皆さんもご自身の健康保険組合をご確認ください。
また病気になって就労が困難になると、障害者年金の受給が可能になり、医療保険の保険金より桁違いの額を、若いうちから年金として受け取れます。
それでも医療費が支払えないと生活保護受けられます。生活保護を受給するようになると、医療扶助を受けられ、医療費がタダになります!日本にいる限り、お金の問題で医療を受けられないことはないです。
ありそうな反論とそれに対する回答
医療保険不要論を話すと出てきそうな反論に対して問答集を作ってみました。
①知り合いが病気になったけど、保険に入ってて良かったと言ってた!
周囲の親族を見ていても、生きていれば入院や手術をするものです。給付金を受け取ると嬉しいですが、それまでにいくらの保険料を支払ってきたか冷静に考えるべきです。30歳で加入して80歳まで支払うと、総額の保険料が164万円です。数回給付受けても、全然元が取れません。
保険金で数十万円受け取ると嬉しいですが、自分が今までいくらの保険料を支払っているか、冷静に振り返るべきです。
②病気になったときに、高額な医療費が支払えないかも
前述の通り、高額医療制度で支払限度額あり、就労が困難になれば障害者年金を受給できます。さらに、最悪生活保護で医療扶助受ければ、タダで医療を受けられます。現代の日本で、医療費が払えず命を落とすことはないのです。
③年末調整や確定申告での医療費控除を考慮したらお得ではないか?
医療保険は、生命保険料控除の中の介護医療保険料控除で、所得税で4万円、住民税で2.8万円所得控除を受けることが出来ます。年間で2,734円×12か月=32,808円の保険料を支払った場合と、最大控除額(年間8万円以上の保険料支払い)をした場合の、安くなる税金を年収400万円と年収1億円の場合に分けて試算しました。
仮に年収400万円の場合、年間32,808円の保険料を支払うと、3,881円税金が戻ってきます。ただ、時間的価値や、もらえる金額を考慮すると、殆ど大勢に影響しない金額です。これは、年収が1億になって、最高税率の45%になっても同様です。保険加入の判断にほとんど生命保険料控除は、影響しないと思っていいと思います。
④公的医療保険でカバーできない先進医療を受ける安心があるのでは?
先進医療とは、将来的に保険導入が期待されている医療技術で、厚生労働大臣が承認したものをいいます。「陽子線治療」や「重粒子線治療」などを、保険適用外の部位に対して照射する治療などが該当します。医療保険で「先進医療特約」で月々数百円の保険料を追加すると、一定条件で先進医療を受けた場合の自己負担を医療保険から受け取ることが出来ます。
もしもの時にお金がなくて、良い治療を受けられないと考えるかもしれません。ただ、医療保険の先進医療特約の急を受けられるのは、保険会社が指定した先進医療だけです。保険会社の指定しない先進医療や、保険適用外の治療(癌の特効薬のオプシーボを認定されている用途以外で使いたい等)は、全額自己負担になります。保険適用外の治療法を実施したい人は、医療保険に限らず、十分な資金を用意しておいた方が良いです。
合理的な治療法の場合、公的医療保険の適用対象になっています。白内障の先進医療だった「多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」も、2020年4月から公的保険の対象となり、先進医療から外れました。先進医療は、妥当な治療法なのかが、審査が続いている治療法です。私は、その先進医療を受ける確率は、きわめて低いと考え、保険加入していません。
もし先進医療に対する保障のために保険に入りたい場合、損保ジャパンから先進医療に特化した保険も発売されています。この保険は、年齢に関係なく500円/月で、先進医療と臓器移植を受けた場合に保険金が支払われる仕組みになっています。癌が発症した際に、陽子線治療などを後悔なく受けたいと考えている場合、普通の医療保険ではなく、この特化型の保険に入ることをお勧めします。
保険会社の不安を煽られてはいけない
保険会社は、「もしも」の時を想定して煽ってきます。ただ、医療保険でカバーされるのは、「もしも」ではなく、人生生きていれば起こりうる事象です。皆が起こりうることなので、支払われる保険金もしょぼいです。
一方で、保険会社は多額の広告宣伝費や、営業コストを掛けています。テレビで保険会社のCMを見ない日はないですし、生保レディーから渡されるカレンダーやバースデーカードもすべて私たちの保険料からカバーされています。
冷静に「もしも」の時に必要なお金と、保険から支払われる金額を見極めて保険の有無を考えてみてください。